道義的責任(どうぎてきせきにん)
読み方
どうぎてきせきにん
意味
法律や契約に基づく責任ではなく、倫理や道徳の観点から果たすべき責任を指します。社会的な信頼や個人の良心に基づいて行動する必要がある場合に使われます。
たとえば、「謝罪するべきか?」と問われたとき、法律上の義務がなくても「道義的に謝るのが正しい」と感じる場面がこれに当たります。
語源
「道義」は道徳や倫理、「責任」は果たすべき義務を指します。この二つを合わせて、法律を超えた倫理的な義務を表現する言葉として用いられるようになりました。
言い換えると
- 倫理的責任
- 道徳的義務
- 良心に基づく責任
- 社会的責務
使用する注意点
- 道義的責任は法律的な拘束力がないため、個人の価値観や社会的背景に影響されやすい点を考慮する必要があります。
- 議論の中では曖昧になりやすいため、具体的な行動や背景を説明すると誤解を避けられます。
目上の方に使える言葉?
目上の方にも使用できますが、「責任」を強調しすぎると厳しい印象を与える可能性があるため、「誠意を示すべき場面」など柔らかな表現を併用すると良いでしょう。
ビジネスで適した例文
- この問題に対し、道義的責任を果たすことが信頼回復の第一歩です。
- 責任者として、道義的な観点から説明責任を果たすべきと考えています。
- 社会的影響を考えれば、道義的責任を無視することはできません。
- トラブル発生時には、法的責任だけでなく道義的責任も意識する必要があります。
- 道義的責任を全うすることで、会社としての信頼を取り戻したいと思います。
どういう場面で使う言葉?
- 法的責任とは異なる形での誠意を示す必要がある場面
- 社会的影響や信用を重視する状況
- 倫理や道徳的な判断が求められる際
使用した例文を5例
- トラブルが発生したが、道義的責任を重く見て、謝罪と改善を行った。
- 道義的責任を果たすことで、関係者全員の信頼を取り戻す努力をしている。
- 社長は問題について道義的責任を感じ、自ら退任を表明した。
- この状況では道義的責任を全うすることが企業としての使命だ。
- 彼の行動は法的には問題ないが、道義的責任が問われている。
失礼に当たる使い方
- 道義的責任を押し付ける形で使用し、相手に負担を強いる場合。
- 法的責任と混同し、誤解を招く場合。
- 不要に重いニュアンスで使い、場の空気を悪くする場合。
英語で言うと?
“Moral responsibility”(道徳的責任)や “Ethical obligation”(倫理的義務)が適しています。
どうしてその単語になったか
“Moral responsibility” は個人の良心や社会的価値観に基づく責任を表し、”Ethical obligation” は倫理的に正しい行動を取るべき義務を示します。
英語での使用例
- “He accepted moral responsibility for the incident and offered a public apology.”
(彼はその事件に対する道義的責任を認め、公に謝罪を申し出た。) - “The company has an ethical obligation to address the environmental impact of its operations.”
(その会社には、事業活動が環境に与える影響に対応する倫理的義務がある。) - “Fulfilling moral responsibility is key to rebuilding trust.”
(道義的責任を果たすことが信頼回復の鍵だ。) - “Ethical obligations often go beyond what is legally required.”
(倫理的義務はしばしば法的な要件を超えるものだ。) - “Acknowledging moral responsibility can help mend damaged relationships.”
(道義的責任を認めることが、損なわれた関係を修復する助けになる。)